ギリシャ語学習段階の区分

古典ギリシャ語初級・中級・上級の能力区分を考えてみました。

自分が古典ギリシャ語「中級の下」から脱せたのか、実際のところ定かではありませんが、1年ぶりにツキュディデスの戦史の講読に参加をし、以前に比べて飛躍的な伸びを感じられたのは事実です。
そこで、ギリシャ語「中級の下」という峠をいかにすれば脱出できるのか、書いてみたいと思います。

もっとも、その前に、この記事では、「ギリシャ語のレベル」というものを区分してみたいと思います。

ギリシャ語でいうところの初級、中級の下、中級の上、上級は以下のようなものではないでしょうか。

・初級

いわゆる入門クラスレベル。初めて学ぶ言語はやはり楽しい。ギリシャ語の名詞格変化、動詞のおびただしい量の活用、直接法・接続法・希求法の使われ方を理解する。やる気が持続すれば普通は1年間程度で卒業。

・中級の下

入門クラスを終え、原典の講読を開始したところ。各単語を見て、名詞や形容詞の格がある程度判断でき、動詞の語尾を見て、それが直接法・接続法・希求法なのか、そして人称と時制がある程度判断できる。もっとも、知っているボキャブラリーは圧倒的に少なく、一つ一つの単語に辞書を引く手間を要し、予習に膨大な時間がかかる。ペルセウス(単語の曲用・活用後の形から原型を導くことができるwebサイト。辞書にあたるのを容易にさせる。)も多用せざるを得ない。希英辞書中の例文はボキャブラリー不足のためちんぷんかんぷんであり、非常なストレスがかかる。そこであっちこっちと自分のレベルに合いそうな辞書や参考書(日本語や英語)に手を出さざるを得ない。副文が出てきた途端、それが条件節なのか、目的節なのか、結果節なのか、条件節であるとすればシンプルコンディションなのか、ジェネラルコンディションなのか、反実仮想なのかなど、すぐには判断がつかない。「ως」を見るだけで大きな不安に襲われる。そのほか副文を導入する接続詞も同じ。辞書だけでは到底構文を理解できず、邦訳を見て初めてその構文がうっすらと分かり、それに対応する参考書の項目を引くことができる。予習は基本的に苦痛である。ここを脱するには、人によっては半年。人によっては5年必要か。このレベルを脱する方法が次の記事のテーマ。

・中級の上

長きに渡った中級の下からようやく脱せ、ギリシャ語を読むことが心から楽しくなる。基本的なボキャブラリーには通じており、簡単な例文であれば訳なしで比較的スムーズに理解できる。名詞・形容詞の格変化、動詞の活用、分詞の変化については理解でき、基礎語彙であれば意味も分かる。ペルセウスは基本的に使わずに済む。副文が出てくるとそれを理解することに情熱が涌き出でてくる。副文の理解に関しては困難なく理解できる頻度が増えている。どうしても理解できない場合には訳を参考にする。「ως」はやはり曲者。完全には制することはできない。そのほか副文を導入する接続詞も同じ。それでも辞書があれば訳を見ずに理解できる頻度は圧倒的に増える。

・上級

私には未知のレベルなので言えることは少ない。。しかし先輩方の様子を見ると、どうやら辞書のみで訳の参照無しで文章の理解がほぼ可能で、副文についても困難なく理解できるようだ。この段階に至るまでには10年を要する。上級の上となると、私の師匠を見る限り、ほぼ辞書なしで文章の理解が可能。古典語学習者が目指す最終局面。学習開始から20年以上を要する?

さて、どんな事でも「中の下の峠を脱する」のが一番大変な気がします。それは仕事でも他の技能習得でも同じではないでしょうか。
私が実践したこと(していること)については、次回の記事で書いてみたいと思います。

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